解体前に知っておきたいアスベスト使用の年代と規制の流れ

アスベストが広く使用されていた年代
アスベストは、耐熱性や耐薬品性、絶縁性などに優れており、建築材料として屋根材や外壁材、天井材、床材などに幅広く使用されていました。しかし、極めて細かい繊維構造をもっているため、空気中に飛散した繊維を吸い込むと健康被害を引き起こすことが明らかになり、現在では危険な物質として認識されています。
アスベストの使用が急増したのは産業革命以降で、20世紀に入ってから建築分野で急速に普及しました。日本では、1950年代から1970年代ころまでが、もっとも広く使用されていた時期とされています。この期間に建てられた建物には、断熱材や防火材、外装材、内装材などにアスベストが多く含まれている可能性があります。1970年代以降になると、海外で健康被害の報告が増え、日本国内でもその危険性が認識されるようになりましたが、すぐに全面禁止となったわけではありません。
アスベストの規制や禁止の流れ
アスベストは、健康被害の深刻さが明らかになるにつれて、段階的に規制が強化されました。日本では、1975年に初めて本格的な規制が導入され、アスベストを5%以上含む吹付け材の使用が原則禁止されました。ただし、この時点では含有率が低いものについては使用が認められていたため、完全な規制ではありませんでした。
1995年には規制がさらに強化され、アスベスト含有率1%以上の製品が対象となり、加えて有害性の高い種類であるアモサイトやクロシドライトの使用が全面禁止されました。これによりリスクの高いアスベストは大幅に排除されましたが、依然として一部の製品では使用が継続されていました。
そして2006年に、アスベスト含有率0.1%を超えるすべての製品について、製造や輸入、使用が全面的に禁止されました。日本において、アスベストは原則として使用できない物質となっています。このような経緯から、2006年以前に着工された建物には、アスベストが含まれている可能性があると考えられます。
正確な判断には調査が必要
建物の築年数は、アスベストの有無を判断するうえで重要な手がかりとなりますが、それだけで完全に判断することはできません。建材の製造時期や在庫の使用状況によっては、規制後に建てられた建物であっても、アスベストが含まれている可能性があるためです。
また、アスベストは屋根材や外壁材だけでなく、天井材や床材、配管の断熱材、接着剤など、目に見えにくい場所にも使用されており、外観だけで判断することができません。そのため、解体工事を行う際は、専門家による事前調査を実施する必要があります。
アスベスト調査では、設計図書の確認や現地での目視調査、必要に応じて試料を採取し分析します。分析では専門的な機器が用いられ、正確に含有の有無を判断することができます。このような調査は法的にも義務づけられており、安全に解体工事を行うために欠かせない工程です。
まとめ
アスベストは、1950年代から1970年代を中心に建築材料として広く使用されており、2006年には全面禁止となりました。しかし、築年数だけでアスベストの有無を断定することはできません。建物解体の際は専門家による調査を行い、安全に解体工事を進めましょう。
