解体工事の豆知識

発がん性の基礎知識|IARCの分類とアスベストが解体工事で危険な理由

発がん性とは?定義と発がんのメカニズム

発がん性とは、正常な細胞をがん細胞へと変化させる性質のことです。細胞の遺伝情報に変異を引き起こす刺激が加わることで、がんが発生するとされています。その影響はすぐに現れないことも多く、何年・何十年もの潜伏期間を経て症状が出るケースもあります。

発がん性の大きなリスク要因は、タバコやアスベストなどの化学物質によるものと放射線被曝によるもの、ウイルス感染によるものの3つです。3つの要因は単独で作用する場合もあれば、複合的に影響し合うこともあります。

発がん性物質の種類とIARCの分類

発がん性物質の評価は、WHO(世界保健機関)の専門機関であるIARC(国際がん研究機関)が定める分類が国際的な基準となっています。IARCは、物質の発がん性を4つのグループに分類しています。

・グループ1:人に対して発がん性がある物質(アスベスト・タバコなど)

・グループ2A:人に対しておそらく発がん性がある物質(亜硝酸塩、熱い飲み物など)

・グループ2B:人に対して発がん性がある可能性がある物質(アセトアルデヒド、漬け物など)

・グループ3:人に対する発がん性について分類できない物質(コーヒー、マテ茶など)

なお、このIARCの分類は発がん性の「証拠の強さ」を示すものです。物質そのものの発がん性の強さや、被曝量によるリスクの大きさを表したものではありません。

※参考:農林水産省|国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について

解体工事での発がん性物質アスベストへの注意点

解体工事の現場で特に注意すべき発がん性物質がアスベスト(石綿)です。アスベストはIARCのグループ1に分類されているリスクの高い発がん性物質で、吸入すると肺がん・悪性中皮腫・石綿肺などの深刻な健康障害を引き起こします。吸入から10〜40年の潜伏期間を経て発症するため、気づかないうちに被曝していた作業者が、長年経過した後に発症するケースもあります。

1970〜80年代に建てられた建物にはアスベスト含有建材が使われていることが多いため、40年以上前に建てられた建物の解体には注意しましょう。また、アスベストの使用が禁止された2006年までに建てられた建築物にも、アスベストが含まれている可能性があります。

現在、解体工事前には専門機関によるアスベスト事前調査が法律で義務付けられています。アスベストが確認された場合、飛散防止措置を施したうえで解体を行い、特別管理産業廃棄物として適正処理が必要です。

まとめ

発がん性とは、正常細胞をがん化させる性質です。アスベストは発がん性がある代表的な物質であるため、解体工事を行う際は事前調査が欠かせません。また、適切な防護措置を取って作業を行い、アスベストが飛散するリスクを最小限に抑える必要があります。